2023.12
白夜書房から、その突然の死の1年になる2011年1月17日に刊行された浅川マキの最初にして最後のオフィシャル本「ロング・グッドバイ 浅川マキの世界」の帯に、「日本におけるワン&オンリーの歌手-浅川マキ」と形容されているが、僕は”日本”を”世界”に置きかえてもいいと思っている。
一瞬にして人の心をとらえてしまう魔力のようなものを持った歌。それはライブ・パフォーマンスにおいても、レコードという複製物に録音されたものを聴いても全く変わることがないが、言葉の響きがマキさんほど音楽的である人は数えるほどしかいない。
1人は”不世出のジャズ歌手”と言われ、マキさんも大好きだと言っていたビリー・ホリディ。もう1人は美空ひばり。
マキさんの演奏家の選び方のシビアさ、センスの良さは多くの人によって語られているが、ビリー・ホリディも美空ひばりも自分がこれだと確信を持てるサウンドを演奏家と一緒に作り出し、そこに歌を錬金術師のようにシンクロさせてしまうのである。
その”魔法”を死後14年目になる来年の1月20日にマキさんの生まれ故郷である美川町で体感できるイベントをプロデュースできることになったのは、天国にいるマキさんの思し召しかもしれない。
マキさんにはよくライブに招待され、また偶然麻布十番の通りで会った時にレコードの話をした思い出があるが、最後に会ったのは亡くなる何年か前の夏の三沢にある寺山修司記念館で行われた<寺山修司追悼イベント>の席。
マキさんは「あら久しぶりね」と優しい笑顔で話しかけてくれたが、真夏の太陽が照りつける中での約30分のアカペラによるパフォーマンスは、文字通り”白昼夢”のようだったし、トレードマークとも言える黒い服の立ち姿と声は忘れ難い記憶として残っている。
そして、文字通りマキさんが天国から降臨してくるというコンセプトで企画した今回の”SUPER AUDIO LIVE”は来場してくれた方々に掛け値なしに感動していただけると思う。1970年9月に発表されたデビュー・アルバム「浅川マキの世界」のオープニング曲「夜が明けたら」を美川で聴けるのは夢のよう。マキさんの作詞・作曲になる名曲は、僕の中ではマキさんの駅に立つ後姿を思い出させてくれるが、今回は古い駅舎を知っている人たちもイベントの実現に大いに協力していただいた。
中でも「あら与」の荒木社長。数年前に”フグの子の糠漬け”の取材で伺った時に意気投合、それ以来のおつきあいになるが、あの”禁断の味”は僕の中でどこかマキさんとつながっている。というか”フグの子の糠漬け”を口にすると、絶対にマキさんの歌が聴きたくなる。そのしっかりとした塩味と深いコク。浅川マキを世に出した存在でもある天才、寺山修司が詩を書いた名曲「かもめ」に、マキさんの日本語詞が素晴らしく魅力的な「ジンハウス・ブルース」や「港町」…… こうして書いていると、美川で浅川マキを聴く会は恒例のイベントになるのではないかと思えてきた。勿論、たっぷりの日本酒とフグの子の糠漬けも忘れずにだ。
その死から14年が過ぎた現在も人気と評価が衰えることのない浅川マキは美川町の出身。
彼女の代表作である「夜が明けたら」「かもめ」の発売されたのが55年前の1969年7月1日ですが、
その前日となる6月30日に故郷・美川の地で”テクニクス”のスーパーオーディオシステムを用いた
浅川マキのスペシャル・レコードライブを開催します。
ナビゲーターには、浅川マキさんと親交のあったプロデューサー/ディレクターの立川直樹氏。
浅川マキが天国から降臨して歌ってくれる魔法のような時間をお楽しみください。
※当日、浅川マキさんのレコードをお持ちいただけましたら、立川直樹さんがセレクトし、
スーパーオーディオシステムでおかけするセッションも予定しています。
皆さまのご参加をお待ちしております。
■開催日時:2024年6月30日(日)17:00開演(16:15開場)
■会場:美川コミュニティプラザ「ふれ愛」(IRいしかわ鉄道美川駅1F 白山市美川中町ロ221番地1)
■選曲/トーク:立川直樹氏
■募集定員:120名
■入場料金:3,000円
■主催:ISHIKAWA Temptation
■企画協力:美川まちづくり協議会、立川事務所、Technics
■後援:美川商工会、エフエム石川
コチラのフォームより、「浅川マキSuper Audio Live in 美川」イベント参加人数・ご連絡先お電話番号を明記の上お申し込みください。
※先着順にて受付します。
※料金は当日会場にて入場時にお支払いください。
※お支払いは現金のみとなります。あらかじめご了承ください。
※録音や撮影はお断りいたします。